たまりば

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右の薬指に、はめられるのがいいかな

右手に指輪

「実はねー、私、この間、このネックレス作ってもらったんだ」
咲子はタバコ片手に、襟元を少し開く。そこには小さいけどキラキラした存在感たっぷりで、思わず見惚れてしまうほどかわいい天使の羽根のようなシルバートップのネックレスがあった。
「うわ~、かわいい!私もなんか作ってほしい!」
れいは思わずそう叫んだ。が、思い出したように言う。
「でも、ハンドメイドだと、お高いのかな?」
咲子は全然予算内だと言う。
カイは、写真集を見せながら、れいに説明する。
「素材によるんですけど、ゴールドは、金自体が高いから、そこそこ値段しますけど、
シルバーなら、この結婚指輪は一対で、数万円くらいです」
「え?結婚指輪で、1個、2~3万ってこと?」
カイはやさしく笑う。
「このご夫婦は、いろいろ事情があって、そんなにお金が出せないけど、世界で唯一の物がほしいということでしたので」
確かに高いブランドの結婚指輪でも、せいぜい相手の名前を彫ってもらうくらいでしか
唯一無二の品とは言えない。
でもカイがつくれば、値段に関係なく、二度と再び同じものは誰も作れないのである。
「私も、そうだなー、指輪がほしいな」
去年、失恋したばかりのれいがつぶやく。
「右の薬指に、はめられるのがいいかな」
時々、左にもしたりして、とれいは考える。
カイはそんなれいの様子をじっと見つめる。
「ドリンクと一緒で、イメージや、雰囲気だけでも作れますし、こういうデザイン、というのがあれば、それでもOKですよ」
咲子とれいは二杯目のドリンクを注文しながら考えた。
咲子は、「これからずっとHAPPYな気分でいれそうなドリンクで」
れいは、思わず本音を言ってしまった。「去年はおつかれさまでしたって感じので」
先程のご飯のときに、彼氏と別れた概要は聞いていた咲子は、ドンッとれいの背中を押す。
「これからはきっとHAPPY続きだよ!」
そんな二人のやりとりを見ながら、カイはドリンクを作っている。それをぼんやり見ながら、れいは思わず、こんなことを口にしてしまう。


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    2015年02月22日 Posted by弘せりえ 2014dec at 14:15 │Comments(0)短編

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